ISKAムエタイ世界バンタム級王者・志朗(KICK REVOLUTION)がルンピニースタジアムのテレビマッチ『スックルンピニームエタイTKO』に出場した。
志朗は昨年2月より現地でのムエタイに専念するために、拠点を名門ギャットペットジムに移し、2017年は5戦3勝2敗1KOという戦績で締めくくる。
前回は12月9日にルンピニースタジアムのテレビマッチでTKO勝利するなど、この1年でタイのムエタイ界に志朗の存在を知らしめることができた。

2018年初戦となる今回は、志朗がさらにランクアップしてゆくための難関的な試合だ。
対戦相手のチューペットはマハーサラカム県出身の19歳、戦績も65戦50勝とかなりの強豪だ。
試合は初回、志朗は、まず奥足のローを多用し距離感を掴んだところで、右ロー、左ハイキックへと繋ぐ。
しょっぱなから奥足へのローキックが多数ヒットしたことで志朗は早速自身の攻撃ペースを掴んでゆく。
だが2ランドからチューペットは早くも距離を詰めてくる。組んだ体勢で細かい左右の膝蹴りを多数打ち志朗を揺さぶる。
一発では効かないような小さな膝だが、数が多く全てをよけきれない膝数だ。
3ラウンド、志朗は前進してくるチューペットを下がりながらカウンターパンチ、そしてカウンターのテンカオ(遠距離から刺す膝蹴り)で応戦。
特にテンカオがチューペットの腹に正面から刺さり、チューペットの腹へのダメージ蓄積もうかがい知れるほどだが、それでもチューペットは表情を変えず前進してくる。
4ラウンドに入ってもチューペットの前進は止まず、ミドルから膝蹴り、肘打ちと、あらゆる技で突進してくる。
ここで志朗は下がりながら立ち位置を左右にずらし、そしてローキック、ミドルキックにつないだ。
それまで威勢よく前進してきたチューペットだったが、ここで志朗の素早い立ち位置捌きについてこれず、棒立ち状態になってくる。
そして、距離が詰まった一瞬に志朗は鋭い前蹴り(三日月蹴り)をチューペットの腹に刺す。この前蹴りの一撃でチューペットは真後ろに仰け反り倒れた。

志朗の前蹴りが急所に入ったのか、チューペットは苦痛の表情をみせのたうちまわる。
レフリーがカウントを数えたが、回復できる見込みもなくレフリーストップ。
前回のパンチ猛打でのKO勝利に続き、志朗の前蹴りでのTKO勝利となる。
今回の試合では、これまでファンに得意技と認知されてきたローキックや重いパンチに加え、テンカオも有効に使うことができた。
そして4ラウンド目には、相手の攻撃に対し、下がりながら立ち位置を左右にずらし、カウンターの蹴りやテンカオを見舞ってゆくという試合運びも見事だった。
この志朗の対応ぶりには場内ギャンブラーも驚いただろう。
試合を観戦していた興行プロモーターのヒアチュン氏にも「次回はビックマッチでの起用か、同テレビマッチで志朗をメインに興行を組む」と告げられる。
志朗はタイの大手、ギャットペットプロモーションの常用選手にのぼりつめた事を実感できたのではないだろうか。
志朗から試合後の声が届いている。
「今回も日本からの応援ありがとうございました!沢山の応援が力になり2戦連続でKO勝ちする事が出来ました。徐々にプロモーターやギャンブラーに認められてきているのが実感出来ていて、更に上のレベルの選手と対戦する事になると思いますが、本場タイで戦っている外国人として結果を残していけるように頑張ります。次戦も応援よろしくお願いします。」
★試合データ
2018年1月13日
タイ・ルンピニースタジアム
スック・ムエタイルンピニーTKO
第3試合
○シロー・ペットギャットペット 122P(志朗:KICK REVOLUTION)
VS
×チューペット・シッパナンチュン 121P
(志朗 4RTKO勝利)
Photo&Text 早田寛  Hiroshi Soda