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「チャンピオンになってからの清川は自信がついたのか、余裕を持った闘い方ができるようになった気がします。技術的な部分はこれからだけど、動きにゆとりが出てきたし、焦りも少なくなった」
3・17ランシットスタジアムでのローマン・ソーゴースンガイジム(タイ)戦を目前に控えた清川祐弥(新宿レフティージム)の練習を見ながら、浜川憲一会長は目を細めた。
文・布施鋼治、写真・早田寛(試合)

 無理もない。昨年12月23日、清川はREBELS.32でKING皇兵(S.F.K.)を5R判定で破ってREBELS-MUAYTHAIフェザー級王座を獲得したが、これがデビューして以来7年目の初戴冠だったのだから。後輩たちに次々と追い抜かれ、忸怩たる想いをしてきた清川にようやく春が来た。
チャンピオンベルトを巻くことでさらに成長する選手もいれば、チャンピオンというプレッシャーを感じてベストパフォーマンスができなくなってしまう選手もいる。清川は典型的な前者ということか。その変貌ぶりは練習にも如実に現れていると浜川会長は言う。
「殴られても、踏ん張れるようになりましたね。昔はいいのをもらったら、すぐ倒れていましたから」
この日は3月22日に試合が決まっている同門の”怪物”秀樹とのスパーリング。5㎏も体重が重く、近い将来間違いなくチャンピオンになると期待されている後輩に対して、清川は浜川会長が言うように派手に倒れることもなく果敢に打ち合っていた。
清川も、最近は周囲から変わったねといわれることが多いですねと呟いた。
「(あと半年で30歳になるという年齢になって)自分の意識は変わったと思いますね。さらにチャンピオンベルトを獲ることで自信が深まったのでしょう。そう言われることは素直にうれしい」
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飛躍のきっかけを掴んだのは、昨年7月の『KICK REVOLUTION2014 日本-タイ5VS5マッチ中堅戦』で実現したポンサックレック・シットタープニット戦だ。初めてのタイのリングというプレッシャーに打ち負けることなく、得意の左ミドルでリズムを掴んだ清川はポンサックレックから文句なしの判定勝ちを収めた。
「あの時は蹴りが走っていて、当たっている感触がありました。あとは自分の距離で闘うことができたと思いますね」
今回のKICK REVOLUTION第2弾では当初清川と同門の工藤政英が出場する予定だったが、1月の試合で眼窩底を骨折。試合出場が不可能になったため、清川に白羽の矢が立った。拳を交わすローマンは17歳の高校2年生で身長172㎝。戦績は35戦26勝8敗1分という情報が伝わってきた。すでにラジャダムナンスタジアムでも闘っており、6戦3勝3敗という戦績を残しているという。ローマンの試合映像は見ていない清川だが、前回もそうだったので焦りはない。
「噂によると、前回タイ側は全敗してしまったので首相撲に強い選手を集めるというじゃないですか。なので、今回はいつもより首相撲に力を入れて練習しています」
──具体的にいうと?
「しっかり首相撲で組む練習と、そこからヒザを打つ練習。当たり前なんですけど、今回は組みの攻防を試したい。いまやっていることをちょっとでもできたらいいなと思っています。あとは相手の首相撲をかわす練習ですかね」
タイ人の首相撲をかわす動きといえば、”ムエタイ都市伝説”ヤスユキのそれが印象に残る。ヤスユキの動きについて触れると、清川は彼はうまいですねと言葉を続けた。
「ああいう動きは参考にしたい。あんなに綺麗にはできないですけどね」
この日も練習のしめは首相撲。階級の合うSHIGERUは前日に試合を行なった直後のため、秀樹との首を取り合う機会が多かった。「昨年7月に比べてもレベルアップしたところを出していきたい。たぶん20%くらいは上がっていると思う」
前回の遠征は試合が終わった翌日に帰国の途のついたため、ゆっくりとお土産を選ぶ時間もなかったが、今回は試合後も数日間滞在する予定だ。果たして清川はきれいな顔でお土産のムエタイトランクスを選ぶことができるだろうか。
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「KICK REVOLUTION2015」
3月17日、タイ国ランシットスタジアム
▽スーパーフェザー級3分5R
REBELS-MUAYTHAIフェザー級王者
清川祐弥(新宿レフティージム)
VS
タイ国Sフェザー級
ローマン・ソーゴースンガイジム(タイ)