甲子園まであと一歩まで迫った元高校野球児はキックの頂きを目指 す。
WPMF世界暫定フェザー級王者のSHIGERU、 WPMF日本フライ級王者のいつか・・・。最近、 新宿レフティージム勢の活躍が目ざましい。 その中でもピカイチのスタミナを誇る無冠の帝王がいる。 7月6日のランシットスタジアムに出場する清川祐弥だ。(文・ 布施鋼治)
「(体力を)残すな。先のことは考えるな」
六山哲哉トレーナーのゲキが鳴り響くと、 両手に重量のあるプレートを抱えた選手たちはア~ ッと絶叫しながら腿上げのスパートをかけた。
5月某日、新宿レフティージムの朝練習。 当初は代々木公園でRUNトレを行なう予定だったが、 あいにくこの日は大雨。急遽予定を変更してジムワークになった。
ただ、 場所が屋外から屋内になったからといって練習が楽になることはな い。腿上げが終わると、 床に倒れ込んだWPMF世界暫定フェザー級王者のSHIGERU は呟いた。
「ふくらはぎが死ぬ」
それでも練習は序の口。六山トレーナーは再び声をあげた。
「さあ、次はみんなの大好きな○△ジャンプ!」
六山哲哉トレーナーのゲキが鳴り響くと、
5月某日、新宿レフティージムの朝練習。
ただ、
「ふくらはぎが死ぬ」
それでも練習は序の口。六山トレーナーは再び声をあげた。
「さあ、次はみんなの大好きな○△ジャンプ!」
床に敷かれたビニールシートが、どんどん汗にまみれていく。
「ハイ、辞め!」
六山トレーナーの号令とともに、選手たちは再び床に倒れ込んだ。
「ハアハアハア」
ジムの中を激しい息遣いが支配する中、
「これから試合に向けて、
新宿レフティージムが朝練を導入するようになったのはちょうど1
「以前はもっと疲れていたと思うけど、
以前は野球少年として、
「あとひとつ勝てたら甲子園でしたからね。
拓殖大学に進学してからも清川は野球を続けた。
「野球では右投げの右打ちでした。
──いわゆるコンパーデット・サウスポー(矯正型の左利き)
「ハイ。最初はパンチを打てなくて試合になっても蹴りばかり。
今年2月11日には『NO KICK NO LIFE2014』に出場し、”日本人キラー”
「会長とヒザ蹴りを重点的にミットでやっていたんですよ。 本当に練習でやっていた通りのヒザ蹴りが出た。 ヨーユットはフェイントがうまい選手じゃないですか。なので、 彼のフェイントをパクって実際に使ってみたらそ れにはまってくれ た」
このヨーユット戦も含め、 過去に清川は日本でタイ人と4度対戦して、 3勝1敗の好成績を収めている。6~7年前、 タイで修行した経験も一度ある。浜川会長や先輩たちの薦めで、 本場のムエタイを体で味わいたくな ったのだ。
「3週間、遊びに行くこともなく、毎日ずっと練習していました。 たまたま小学校の子がいて、その子がずっとやっていたので、 僕も休んじゃいけないと思ったんですよ(笑)」
ただ、その時試合をするチャンスはなかったので、 今回が本場タイでのデビュー戦となる。
「なので、 最初にこの話をいただいた時にはものすごくうれしかったです。 ランシットスタジアムって綺麗じゃないですか。 ネットで検索して写真を見たけど、 なんだか緊張してしまいました」
国内における清川は戴冠まであと一歩というポジションにいる。 今年3月30日には”情熱のタフガイ” 長嶋大樹が保持するWPMF日本フェザー級王座に挑戦したが、 3RTKO負けを喫してしまった。
「試合前、左ミドルを変えろと指摘されていたけど、 大丈夫だろうと思ってそのままやったらカウンターで狙い撃ちされ てしまいました。 もうジムの仲間にも簡単にカウンターを合わせられてしまいますか らね。このままだとダメだと思い、最近になってフォームと( 打 つ)タイングを変えました」
キックを始めて8年、すでに30戦の戦績を誇る。 新宿レフティージムの中では一番のキャリアの持ち主だ。清川は、 そろそろ結果が欲しいと本音を漏らした。
「大事な試合になったりすると緊張したりするので、 メンタルが課題ですかね」
六山トレーナーは、スタミナがあるがゆえの問題点を指摘した。
「ヘバっている姿を人に見せたくないのでしょう。 清川はいつもヘラッとしている。なので、 練習でもこれ以上やると倒れてしまうんじゃないかというところで ブレーキをかけるところがあった。最近は、 なんとかリミッターを外せるようになってきましたけどね。 例えば 5人の中で一緒に練習させると別に手を抜いているわけでは ないけど、そこそこにしかやらない。ただ、 清川はもともと負けん気の強いタイプ。 1VS1で競わせると全てを出し切るんですよ」
限界を超えろ。
このヨーユット戦も含め、
「3週間、遊びに行くこともなく、毎日ずっと練習していました。
ただ、その時試合をするチャンスはなかったので、
「なので、
国内における清川は戴冠まであと一歩というポジションにいる。
「試合前、左ミドルを変えろと指摘されていたけど、
キックを始めて8年、すでに30戦の戦績を誇る。
「大事な試合になったりすると緊張したりするので、
六山トレーナーは、スタミナがあるがゆえの問題点を指摘した。
「ヘバっている姿を人に見せたくないのでしょう。
限界を超えろ。