<試合データ>
7月22日 (土曜日)
タイ ルンピニスタジアム
契約体重 123ポンド
対戦相手 ゲンサック(サクランシットジム)
ギャットペットに移籍して3戦目。1戦目、2戦目と評価の高い勝ち方を
してきた志朗は、この試合で勝てば、次はもっと大きなステージで試合をさせると
ジムの会長に言われていた。その期待に答えるために志朗も気合が入っていた。
ところが、当初、予定されていた対戦相手が変更になって、その後、二転三転して
ようやく決まったのが木曜日だった。そして、相手は180cm近い長身。計量時の体重は
同じでも、計量後、急激に体重が増える選手もいる。ゲンサックは長身を利用してからの首相撲が得意の選手だ。それでも、今までの試合内容から、試合前の掛け率は志朗有利と出た。
だが、志朗のトレーナーと会長は、この長身の選手に対して警戒を隠さない。
「2Rまでに差をつけないと、3R以降はきついかもしれない」というアドバイスを志朗に与えた。今回は、対戦相手が急に変更になったということだけではなく、試合時間も早まってしまった。今までは通常6時試合開始だが、今回からはテレビ局の都合で午後2時に変更されてしまった。ルンピニスタジアムは、他のスタジアムより、計量時間が遅く6時30分開始で、午後2時開始だと、選手は十分な休息がとれない。特にゲンサックのように長身の選手と首相撲をする場合には同じ体格の選手と試合をする以上に体力を消耗しやすい。
午後13時30分会場入りをした志朗は、やはり、前回の試合に比べたら回復はしていないようだった。
控え室に行く途中で、志朗を見つけた観客たちからは「Shirou!」「Shirou!」と呼び声がかかる。期待は大きい。
午後15時(タイ時間)試合開始。
1R目は志朗の左の軽いローキック攻撃から試合は始まった。得意のローキックを炸裂しようとするが。ゲンサックの前蹴りで思うように中に入れない。1Rは、お互い様子見の展開で終了した。セコンドからは2R目は積極的に攻撃するように指示が飛ぶ。
2R目に入ると、セコンドの指示通りに積極的に攻撃を仕掛けていった。
ローキックが確実の相手の左太ももに炸裂しているように見えたが、試合後、志朗によるとローキックの入り方が浅かったと言っていた。ローキックを利かせて、顔面へのパンチを放つがゲンサックのリーチが長いために届かない。それでも、志朗の得意の攻撃が始まり、
ゲンザックにローキックが決まって、ぐらつく場面が何度もあると、場内のギャンブラーもざわめきだした。2Rは確実に志朗が取った。
そして、セコンド陣が杞憂していた3Rが始まった。2Rのローキックが利いていれば、
3Rは有利に試合展開を運ぶことができる。
ゲンサック陣営は戦法を変えてきた。ローキックを志朗が放とうとすると、先に一歩入ってローキックが確実に急所にヒットしなくなった。そして距離を一機に縮めて、首相撲を仕掛けてきた。志朗もパンチで返そうとするが、単発的な攻撃で後が続かない。2Rまでのゲンサックとは思えないほどの変わりようだ。2Rまでは志朗を油断させるために志朗のローキックを受けていたのかもしれない。2Rまでの攻防を見ていた人たちは志朗がKO勝ちをするかもしれないと思っている人もいたぐらい、ゲンサックがダメージを受けていたように見えた。志朗のローキックとパンチのタイミングを計っていたのかもしれない。3Rに入ってからのゲンサックの動きを見るとそうのように思えてくる。前蹴りでバランスを崩される場面も出てきた。ゲンサックの得意な首相撲を封じることができなかった志朗は、3R目で大きくポイントを失った。4R目は完全に志朗の動きを読み取っているゲンサックがリードした。5R目には最後の逆転勝ちを狙って業を繰り出すが、的確なものが入らない。
普通のムエタイであれば勝敗が決まっている場合、後半はお互いに流すが志朗はあきらめない。この最後まであきらめない姿勢がトレーナーや会長は評価してくれた。
試合後、志朗が「初めてほめてくれた」と言っていた。志朗の階級でゲンサックのような長身の選手はムエタイでも2人から3人ぐらいだそうだ。長身の選手は、背の高さとリーチの長さで首相撲になれば、それだけでポイントが有利に動く。ムエタイで上に行くためには
苦手な相手を克服しなければならない。負けたが収穫はたくさんあったようだ。
ジムの会長とトレーナーは、今回の志朗の逃げない戦い方には満足していた。ムエタイは
この気持ちが一番重要なのかもしれない。
KICK REVOLUTION BATTLE SELECTION#2 志朗VSバカイペット戦。賞金総取りマッチの模様を志朗が試合を振り返りながら解説します。
2017年3月25日、タイ・ルンピニースタジアムで行われたNOW26の試合に出場し勝利した志朗。
自身の試合を振り返り、ムエタイの技、わかりにくい採点などについて解説。
2017年6月30日 ルンピニースタジアム で行われた、スック・ギャットペット第2試合 123P契約 シロー・ペットパヤタイ VS ヌアペット・シットロムナオ は、49-47で志朗の判定勝利だった。
新日本キックボクシング協会大会後初の試合となったルンピニースタジアムでのスック・ギャットペット第2試合は、志朗にとって、3月に続く第二戦目のテレビマッチだ。
タイのムエタイにて、テレビマッチに外国人選手が出るのがとても難しい。その中で注目度の高い第2試合目のテレビマッチが組まれたというのは、ギャッとペットジムの志朗への高い期待の証だ。
移籍後初の3月に行われたテレビマッチでも勝利を勝ち取ったことで、当地のギャンブラー、マスコミ、プロモーターと志朗に注目している。
今回の対戦相手ヌアペットは、前蹴り、ミドルキック、首相撲からの肘うちが得意な、典型的なムエタイスタイルの選手だ。大きな試合にも出場経験豊富で、強豪選手として知られている。
1R、2Rは、ヌアペットの前蹴りとミドルキックがタイミングよく入り、賭け率はヌアペット優位に進む。志朗は3R目から、ローキック主体のパンチ攻撃で、ヌアペットを攻め立てる。ここでポイントが近づく。
4Rの勝負の時、前に出て攻撃をする志朗。ワンツーからフック、ローキックを続けざまに出して、的確にヌアペットにヒットさせる。このラウンドで、ポイントは逆転して、賭け率も大差で、志朗有利に動いた。
5Rに入ると、ヌアペットは最後の逆転勝利に向けて、KOを狙ってきたが、志朗は、パンチからのローキックで応戦。しかし、その差は広がるばかりで、賭けが成立しないほどの大差で志朗が圧勝した。
そのヌアペットに勝利した志朗は、7月後半にルンピニースタジアムで行われる3戦目の試合出場が確定した。あと2勝か3勝すれば、世界中のムエタイファンがテレビ観戦する7chテレビマッチに出場させると会長は志朗に言った。
写真提供:NOW26 (Wanchai Kraisornkhajit)