7月6日、タイ・ランシットスタジアム 「KICK REVOLUTION 日本-タイ5VS5全面対抗戦」大将戦122ポンド契約3分5ラウンド

志朗96ピーナンジム(日本)対セーングサクッダー・チョーワチラ(タイ) 志朗判定勝利!

<文・布施鋼治 写真・早田寛>

「楽しかったですね。一緒に闘うというか、まわりの勝敗も気にしたり・・・・。面白い体験でしたね」

大会終了後、志朗は笑顔とともに日本-タイ対抗戦を振り返った。先鋒戦から副将戦まで日本チームは4戦全勝で迎えた大将戦。志朗にプレッシャーがなかったといったら嘘になる。
「(周囲の)タイ人には『お前が勝たないとしょうがない。負けたら恥だ』と言われていましたからね。いつもとは違うプレッシャーがありました」
試合前、志朗の体調は最悪だった。減量のせいだろうか、試合の数日前からは手足にしびれが出ていたほどだ。
「だから、どうやって体重を落とそうかと考えました。タイでは体重を落とすことが仕事として重要。それをモチベーションとしてやっていましたね。早く試合が終わればいいのにと思っていました」

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志朗が入場ゲートに登場した時、時計の針は19時58分を指していた。二転三転した末に本決まりになったテレビ中継は18時から20時までの予定だったが、5VS5マッチを完全中継するために放送時間を延長していた。
タイ人チームの中では一番知名度のあるセーングサクッダー・チョーワチラに1Rから強いローを浴びせた。相手がローを返してくると、ムエタイのセオリーに則って志朗はさらに同じ蹴りを返していく。
「でも、耐えられました」
2Rからはハイキックも当たり始めた。3Rには志朗のハイを食らったセーングサクッダーがストンと腰を落としたが、レフェリーはそのまま試合続行を命じた。
日本だったら間違いなくダウンを宣告されているシーンだが、タイではフラッシュダウンレベルではダウンとみなされない。志朗も早く起き上がったから仕方ないと証言する。
「今までハイキックが当たったこと自体ほとんどなかった。倒れろよとは思いましたけど、向こうにもタイ人としてのプライドがあったのでしょう」
その後も志朗はローやハイをヒットさせたが、セーングサッグダーが顔色を変えることはなかった。敵に弱みは見せない。それも、ムエタイのセオリーのひとつだ。

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しかしながらこの日のセーングサッグダーは弱みを見せないだけで、怒濤の反撃を繰り出すまでには至らない。4Rが終了した時点で志朗は勝利をほぼ手中に収めていた。
試合の感想を求めると、タイでも色白の21歳の日本人キックボクサーはトレーナーのガイスイットに怒られましたと頭をかいた。
勝ち名乗りを挙げたのになぜ?
「僕のKOに500バーツをかけていたんですよ。それで怒られました(苦笑)」

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それもタイ、これもタイ。大会終了後、会場で開催された打ち上げが終了すると、志朗は96ピーナンジムの仲間とともに軽トラの荷台に乗り込み、会場をあとにした。

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